今、目の前に問題はありますか?
そして、その問題を解決に導くことはできていますか?
問題を解決するためには、正しいプロセスで臨まなければ十分な結果は得られません。
筆者が10年勤めた大手企業でも「ビジネスは問題を継続的に改善する活動である」として、
問題解決能力を培うための研修が設けられていました。
この記事では、筆者がこれまでに学び、実際の業務で培ってきた経験を元に、問題解決のプロセスをわかりやすく解説します。
もっと成長したい、市場価値を高めたい、組織に研修を導入したいという方にも活用できるので、参考にしてみてください。
ビジネスにおける「問題」とは何か
ビジネスにおける「問題」とは、理想と現状のギャップのことを指します。
この定義がずれてしまうと、真の問題を解決できないばかりか、そこに費やす時間や労力の無駄にもなりかねません。
したがって、問題解決の第一歩はこの問題を明確にすることからはじまります。
問題の種類
問題には、いくつかの種類があります。
それぞれの特徴を理解しておくことで、様々な問題を捉えることができるので覚えておきましょう。
発生型
すでに起きてしまった問題
自然と発生してしまっているため、容易に気付けて対策方法も見つけやすいのが特徴です。
例)「注文が殺到し、一部商品の納期が間に合わなかった」
潜在型
今後発生する可能性のある問題
現状は表面化していないが、将来予測できる変化によって発生しうる潜在的な問題となるため、認識が難しいのが特徴です。
例)「今後見込まれる気候変動によって、安定供給が困難になる可能性がある」
設定型
目標を達成しようとする過程で発生する問題
目標がなければ存在しない問題だが、目標を設定することではじめて発生するのが特徴です。
例)「新規事業を立ち上げるためには、マーケティングリサーチが十分ではない」
問題解決のプロセス
冒頭でも説明したように、真の問題を解決するためには正しいプロセスで臨まなければ十分な結果は得られません。
ステップ毎にポイントを押さえて、最大限の効果を発揮させましょう。
問題を特定する
まずは、何を問題として捉えるかです。
その際、日常業務やマネジメントの根幹に関わるようなインパクトの大きい問題は見逃さないように注意しましょう。
また、適格な情報収集を行い、どこに・どれくらいの問題があるのかを、具体的かつ定量的に把握することで、
解決すべき問題の優先度をつけることも容易になります。
問題を正しく捉える
問題を特定する上で、気をつけなけれなならないことがあります。
”ビジネスにおける「問題」とは何か“ で解説したように、問題の定義がずれてしまうと、真の問題を解決できません。
そのため、問題を正しく捉えることが個人的には最も重要だと思っています。
実際に問題を間違って捉えた場合、どうなってしまうのか・・わかりやすく簡単な例を挙げてみます。
新入社員のAさんは注意力散漫で、同期の新入社員Bさんに比べて生産性が低い傾向にある。
この場合の問題はどこにあるでしょうか?
Aさんの「注意力が散漫」なこと? それとも「生産性が低い」こと?
答えは・・「生産性が低い」ことが捉えるべき問題になります。
問題の本質を見極める
捉える問題によって効果に違いが出てしまうだけではなく、
真の問題を解決しなければ、第二・第三の問題へと派生してしまうケースもあります。
振出しに戻らなければ真の問題に辿り着けない場合もあるため、はじめに問題を正しく捉えることが重要なのです。
では、どのようにすれば真の問題に気付けるのでしょうか? ポイントは、問題の本質を見極めることです。
- ビジネスにおける問題は、理想と現状のギャップであり、現象ではない
- 発生している実害がに目を向ける
原因の分析・明確化
問題を特定できれば、「なぜその問題が起こっているか(起こりうるか)」原因を分析していきます。
仮説を立てる
仮説を立てて要因を洗い出します。
その際、特性要因図(フィッシュボーン・ダイアグラム)を用いて抜け漏れがないか確認するのが有効です。
【 特性要因図(フィッシュボーン・ダイアグラム)】
結果(特性)が、どのような要因でもたらされたかを図式化したもの。特性に対して推測される複数の要因と、それをさらに細分化した要因の関連を結びつけることで、多角的な視野で抜け漏れなく、状況を整理することができ、原因究明につながる。
問題解決の場合、「解決したい問題」を特性として、「人」や「環境」「仕組み」などはじめに思いつく要因を掲げ、各要因に潜む細かい要因をあぶり出していく。
仮説を検証する
次に、仮説した要因を検証していきます。
検証手段は、データの確認や関係者へのヒアリングなどで行い要因を突き止めます。
問題解決で効果が出ない場合、仮説の検証がされていなかったり、検証不足であることが多いです。
要因を掘り下げ明確化する
要因が突き止められたら、「なぜその要因が起きたのか」なぜなぜ分析で根本的な原因を追究します。
掘り下げが甘いと表面的な改善にしか繋がらないので、「なぜ」を繰り返していきましょう。
また、注意点として特性要因図の要因を推察する際に、なぜなぜ分析を用いるのは間違いです。
なぜなぜ分析は、事実に基づいて掘り下げていくことで原因を究明し、最善の解決策を見い出す手法であるため、
特性要因図で要因を推測する際に用いると、自由な発想ができず抜け漏れが生じるなど原因にたどり着けない可能性がある他、
潜在的な問題の対策を講じる際に、大きな障壁となってしまいます。
解決策の決定・実行
原因を明確化できたら、「どうすれば改善できるか」解決策を決定します。
思いつくだけ解決策を洗い出す
解決策は、あらゆる角度から網羅的に洗い出します。
その際、期待できる効果や実現性はひとまず考えず、数多く挙げることがポイントです。
行き詰ったら、洗い出した情報をカテゴライズして再度洗い出しをしたり、
複数の解決策を組み合わせることで、さらに効果を引き出せるケースもあります。
解決策を選定する
洗い出した中から、解決策を選定します。
選定基準としては、どのくらいで効果が出そうか、リスクは無いか、コストが発生するケースは費用対効果に見合うか、
現場のリソースで対応できるかなどで判断するのがポイントとなります。
その際、ペイオフマトリクスで最善策を判断するのが有効です。
【 ペイオフマトリクス 】
「効果」と「実現性」の2つの軸で区切られた図(マトリクス)を使い、効率的にアイデアの取捨選択をするための分析フレームワーク。
問題解決の場合、効果と実現性の高いトップゾーンに入る解決策を優先的に選定する。
解決策の実行プランを計画する
優先度の高い解決策を、誰が・いつまでに・何をするか計画に起こします。
その際の注意点としては、 誰が・いつまでに・何をするかを明確に示すことです。
- 誰が ⇒ 担当者は個人をアサインする(部署や組織を担当とすると、主体性や責任の所在が不明確になる)
- いつまでに ⇒ 期日は明確な日時を設定する(曖昧な期日では、納期管理や優先度の判断を誤る)
- 何をするか ⇒ 解決策を具体的に文章化する(メンバーが何をすべきか判断できなくなる)
計画の実行とその後
いよいよ、プランを実行します。
実行後は「計画通りに進んでいるか」進捗確認し、「効果は出ているか」検証し、課題があれば反映させていきましょう。
これらをPDCAサイクルで継続的に運用することで、本質的な問題を根本から解決させることができます。
【 PDCAサイクル 】
Plan(計画)、実行(Do)、Check(評価)、Action(改善)のサイクルを繰り返し行うことで継続的な改善を促す手法。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
問題解決は一度で終わりではなく、継続的な改善活動が重要になります。
また、問題が起きてからの行動だけではなく、日頃からより良くすることを意識しながら活動することで
潜在型・設定型の問題解決にもつながります。
問題解決能力は、ビジネスにおいて必要不可欠なスキルです。
このスキルが高い人ほど、分析や判断力に長けた市場価値の高いビジネスパーソンといえ、
企業にとっても、 問題解決能力の高い人材が多いほど業績向上や事業拡大を実現できる組織といえます。
問題解決スキルを高めるためには、量をこなして習慣化し、質を上げることがコツとなるので、
積極的に取り入れて、スキルアップを目指しましょう。